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ドイツ人は風呂嫌いか?

その18

 日本人は風呂が好きである。なかには嫌いな人もいるだろうが、ここ数年の温泉ブームを考えても、日本人くらい「湯に浸かる」のが好きな人種もいないのではないか。温泉にはそれぞれ効能というものがあって、リウマチに効くとか、アトピー等の皮膚病に良いとか、実に様々。美肌で有名な温泉もある。温泉地巡りが大好きな友人のデザイナー(女性・34才)は、うらやましいほどの美肌。そろそろ目尻にしわのひとつも出てもいいはずなのに、つるつるたまご肌というやつだ。年間通して、日本のあらゆる温泉地を巡っているので、これも温泉のおかげなのだろうか。とにかく湯に入るのは気持ちいい。汗を流し、湯船につかって、湯気を立たせながら上がったときの、一杯のビール(水でもいいが)は最高の味だ。しかし、どうも欧米ではこの気持ちよさは理解してもらえないらしい。私はドイツ語を、とある語学学校で学んでいるのだが、同じクラスの30代の女性N子さんの話を聞いて、少なからず驚いた。彼女の夫はドイツ人。ドイツ人の夫を持っているのに、なぜドイツ語の学校に来てるのかというと、彼は日本語がペラペラなのだ。つまりドイツ語を話す必要がないのだ。しかし近い将来、夫と共にドイツに永住することになりそうな彼女は、多少の危機感を持って、受講を始めたというわけだ。欧米の人が男女を問わず、風呂嫌いなのは有名だが、事の真偽を確かめるためにN子さんに聞いたら、やはり本当だった。彼女の夫はシャワーは浴びるが、湯船にはめったにつからないらしい。しかし大人はそれでもいい。子供はどうなのか。彼女には2才になるかわいい女の子がいる。この子が生まれてすぐ、N子さんは夫に宣言したそうだ。「この子は毎日風呂に入らせてやりたい」と。しかし夫は「そんなことして、子供の身体に悪くないのか? 大丈夫なのか?」と返したそうだ。理解に苦しむが、どうやら風呂に入り過ぎると、健康面で良くないと考えているようだ。これはどういう心理なのだろう。N子さんは「文化の違い」とらえているようだが、私は考え込んでしまった。それはひょっとして風呂が人間の身体から油分を奪うからか?以前、年をとったら毎日風呂に入らないほうがいいと聞いたことがある。年といっても、老年期のことだ。根拠があるのかないのかわからないが、年をとるにつれて、油分は減っていく。毎日風呂で身体を洗い、それを流すのは必要な油分まで奪うのではないかという論理だったと思う。ドイツ人もこんなことを考えているのだろうか。謎だ。ドイツ各地には「バーデン・バーデン」という温泉もちゃんとある。ということは温泉は好きなはず。だが、リゾート気分でたまに温泉に行くのと、家庭で風呂に毎日入るのは、彼らの意識の中では大きく違うのだな、きっと。いつか直接そのあたりをN子さんの夫に聞いてみよう。


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