ここ数年、アトピー性皮膚炎という言葉をあちこちで見かけるようになった。この病気に苦しんでいる人は多いと思う。古くからの友人がこの病気で、私も少しはこのやっかいな病気の知識がついてきた。アトピーの薬として有名なのがステロイド軟膏だ。これを塗ると症状はかなりおさまる。だが、これはアトピーを押さえているだけで、治癒の方向にはいっていない。アトピーの友人はなんとかステロイドをやめることで病気を克服しようとした。だが、簡単に治る病気でもないのが難しいところだ。この病気、顔が赤くなったり、皮膚がかさかさになったり、とにかく見た目に、かなり辛いものがある。衣服に隠れている部分なら、まだいいのだが、顔や首、手などは誰だって見た目を気にするだろう。昔はなんとか治そうとしていた友人だが、もう5年くらい前からその考えを捨てた。「たぶん完全に治ることは無理だと思う。それよりもうまくつきあうことにする」と言っていた。こう書くと開き直りに聞こえるが、そうではない。アトピーに限らず、ひょっとして健康の極意はここにあるのではないかという気が最近しているのである。私たちは何か病気をすると、早く治りたいと思うし、元気になりたいと思う。もちろんそれは当然の気持ちだと思うが、なかにはそんなに簡単に治る病気ばかりではないだろう。そんなときは、ちょっとだけ気持ちをゆるく構えてはどうだろうか。長引きそうなときは、「治す」ではなくて、「うまくつきあう」という考えに切り替える。そうしたらほんの少し気持ちが軽くなるような気がする。アトピーの友人も、そうすることで少し気持ちが晴れたのか、以前のように病状が最悪になることが減ったという。しかし、アトピーの友人から話を聞いていて思うのだが、世の中にはおせっかいで礼儀しらずの人がいるものだ。確かにその友人のアトピーが最悪状態のときは顔は赤いが、街を歩いていると見ず知らずの他人がかけよって、「大丈夫、顔?」だの、「私がいい病院を知ってるわよ」だの、頼みもしないのに声を掛けてくるそうだ。このテのおせっかい、きっと声をかけた本人は親切のつもりだろうが、掛けられたほうはいい気はしない。人の病気を気軽に受け止めるべきではないし、簡単に治し方などしたり顔で言うべきではないと思う。ほんの少し想像力を働かせばわかるはずなのだから。
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